研究員コラム
- 2025
- 04
ハイヤ節のまち 熊本県天草市牛深
皆様は「ハイヤ節」をご存じですか?
「ハイヤ節」は、熊本県天草市の最南端・牛深に江戸時代後期から伝わる伝統的な踊りです。
かつて牛深は海産物などを運ぶ船が多く出入りする海上交通の要衝でした。
「ハイヤ」とは、実は「南風(はえ)」が語源。
南風が吹くのを待つあいだ、船乗りたちが時間をつぶすために歌い踊ったのが、ハイヤ節のはじまりとされています。
まさに、港町ならではの文化ですね。
この「牛深ハイヤ節」は、寄港した船乗りたちの間で受け継がれ、港から港へと広がっていきました。
北は北海道・江差にまで伝わり、全国40カ所以上に広がる“ハイヤ系民謡”のルーツとも言われています。
なんと、あの有名な徳島の「阿波おどり」も、もとは牛深ハイヤ節が起源と言われています。
そんな牛深は、熊本県内最大の漁港でもあり、天然魚の水揚げはもちろん、タイやブリなどの養殖も盛んです。
さらに、和食の“だし”には欠かせない「雑節(さば節・いわし節などのかつお節以外の節)」の名産地でもあり、全国トップの生産量を誇ります。
実は建築好きにもたまらないスポットである牛深。
道の駅「うしぶか海彩館」は、建築家・内藤廣氏の設計によるもので、新鮮な魚を味わいながら建築美も楽しめます。
また、水産加工基地のある後浜地区と、漁港施設がある台場地区をつなぐ「ハイヤ大橋」は、イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏による設計。
牛深のきれいな海と調和した美しい橋です。
このように地域資源が豊富な牛深は、令和5年には「海業振興モデル地区」にも選定されており、現在に至るまで地域資源を活かした海業の展開に向けた検討が続けられています。
漁業の町でありながら、芸術のエッセンスも感じられる牛深。
そんな町で、毎年春に開催される一大イベント「第53回 牛深ハイヤ祭り」が、4月18日~19日に行われました。
私も参加したかったのですが、今年は都合が合わず、参加できませんでした。
ですが、来年こそは絶対に参加したいと思っています!
潮風を感じながら、伝統の踊りと美しい建築をめぐる時間。
ぜひ牛深で、特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?
(第3調査研究部 海老原)
- 場 所
- 牛深漁港(〒863-3818 熊本県天草市牛深町)
- メ モ
- 牛深ハイヤ祭りHP https://ushibuka-haiya.com/
- アクセス
- 熊本空港から車で約3時間 長島・蔵之元港からフェリーで30分