研究員コラム
- 2025
- 04
高台へ昇ってみませんか?
海に面している漁港では、南海トラフ地震や千島海溝・日本海溝地震などが発生すると津波が来襲することが想定されるため、まずは、津波からの避難し人命を守る必要があり、各地で様々な対策が講じられてます。
津波からの避難については、到達する津波より高い場所へ避難するために高台に向かう階段の整備や高台がない地区では市場の一部に高台を設けたり、避難タワーを建設する等により高い場所を確保する対策が進められています。
国内最大級の津波避難施設(高知県黒潮町)
市場に併設された避難タワー(和歌山県串本市)
高台へ向かう階段(徳島県美波町)
漁村総研で仕事をしていると、出張で全国の漁港を訪問する機会が多く、津波被害が想定されている地域に行くと漁港近くに避難タワーや高台に繋がる避難階段が整備されており、時間が許せばとりあえず避難経路に沿って高台の避難場所まで行ってみるようにしています。
避難計画上では津波が到達するまでに津波よりも高い位置に避難できることになりますが、実際に昇ってみると普段運動不足の小生では息切れしてしまうほどなので、沿岸に行くことが多いのでいざの時に備えて常日頃からの鍛錬が必要であると身にしみてしまいます。
ここで、高台に昇ると良いこともあります。それは普段見れないすばらしい景色です。
漁港は自然豊かな場所に位置し、背後には昔ながらの漁村が形成されていることが多いですが、高い位置から見下ろすと平地からでは見られない風景が広がっており息を切らして昇るだけの価値は十分にあると思います。
ここで、三重県尾鷲市の九鬼漁港及び集落を背後高台(標高40m程度)から漁港漁村を見下ろした風景と静岡県焼津市焼津漁港小川地区の荷捌き所背後の津波避難施設(標高10m程度)から漁港越しに富士山方向を望んだ風景を紹介させて頂きます。
三重県尾鷲市九鬼地区
静岡県焼津市焼津漁港小川地区
最後に、自らの地域の高台には避難訓練などで昇っていると思いますが、沿岸部へお出かけの際は万が一に備えての避難経路を確認するとともに、立ち入りの可否を確認した上で高台に昇ってみてください。きっと素晴らしい景色に出会えるはずです。
(第1調査研究部 後藤)
- 場 所
- 南海トラフ地震防災対策推進地域