研究員コラム
- 2024
- 11
能登半島地震により被災した漁港の復旧・復興に関する支援等について
令和6年能登半島地震の発生から、まもなく1年が経過しようとしています。
お亡くなりになった方々に心よりお悔やみ申しあげるとともに、被災された方々に改めてお見舞い申しあげます。
今回は、能登半島地震により被災した漁港の復旧・復興に関する支援等について、私が携わっている取組の一部をご紹介いたします。
漁村総研では、令和5年度水産基盤整備調査委託事業「漁業地域復旧・復興対策緊急調査」を水産庁より受託し、漁港・漁場・漁村の復旧・復興支援に繋がる緊急調査を実施しています。
緊急調査では、各漁港の早期の復旧・復興の実現に向けて有識者で構成する「令和6年能登半島地震漁業地域復旧・復興技術検討会」(以下、技術検討会という)を設け、主に地盤隆起により被災した漁港の復旧・復興の方法等について、漁港管理者の参考となるよう技術的な側面から支援しました。
技術検討会を開催するに際しては、委員を中心とした現地視察会を実施し、地盤隆起が顕著な地域や津波が来襲した地域等の漁港の被害状況を把握しました。これにより、技術検討会では現地の状況を踏まえた復旧方法等の技術的な議論や提案を行うことができました。
また、緊急調査において私が現地で確認した漁港等の様子についてもご紹介いたします。
大規模な地盤隆起が生じた漁港では、港口まで歩いて行けるほど陸地化していたり、水域はあっても船を接岸できなかったりなど、漁業の再開が難しい状況となっていました。
さらに、大規模な地盤隆起が生じた一方で、建物や防波堤・岸壁等が倒壊することなく、まるで海水だけが抜かれてしまったかのような光景にも見える不思議な被害状況もありました。
加えて、現地を訪れた際には漁港内の状況だけに限らず、地盤隆起による漁場の一部の消失、地震による家屋の倒壊、液状化によるマンホールの浮上等の漁港周囲の海岸・水域や集落の被害状況についても把握しました。特に、漁港への道路が被災し、重機が通行できない地域等では、これを解決しないと漁港等の復旧に着手できない状況となっていました。
こうした漁港の被害状況を踏まえた各地域の復旧・復興に向け、漁村総研は緊急調査を通して地元の支援に繋がるよう引き続き各種検討を行います。
【おまけ(調査時の息抜き)】
通常の生活が送れない厳しい状況の中、石川県のソウルフードの1つである「8番らーめん」は、被害が大きかった地域でも比較的早い時期から営業が再開されていました。定番の「野菜らーめん」はもちろん美味しいのですが、汁なしまぜめんの「唐麺」もおすすめです(写真は野菜らーめんですが…)。
お店の中はいつも賑わっており、地元の方々に加え、復旧・復興のため現地を訪れる関係者にとっても、なくてはならない存在だと感じました。
私も皆さんにとってなくてはならない「みんなの研究所」を目指していかなければ、と改めて思いました。
(第1調査研究部 橋田雅也)