第1回JIFIC公開セミナー~水産分野におけるトレーサビリティの展開~を開催
2009.06.25
はじめに
「漁港施設の建設、漁場及び漁村環境の整備に係る科学技術に関する調査、研究及び開発並びにその成果の普及啓発」という当研究所の設立目的に沿って調査研究を実施しています。このたび、公益事業の一環として、漁港・漁場・漁村に係わる知見を広めるために、自主公開セミナーを開催することとしました。
第1回目は、近年の食品に関する安全・安心への感心の高まりの中、「水産分野におけるトレーサビリティの展開」をテーマとして、NPO法人水産物トレーサビリティ研究会との共催により下記のとおり開催いたしました。
開催概要
[開催概要]
日 時: 平成21年5月18日(月)15:00~17:30
場 所: 東京 ハーモニーホール
主 催:財団法人 漁港漁場漁村技術研究所
共 催:NPO法人 水産物トレーサビリティ研究会
[プログラム]
■ 開会挨拶
岸野 昭雄 (財)漁港漁場漁村技術研究所 理事長
■ 講 演
テーマ:『水産物分野におけるトレーサビリティの展開』
講 師:松田 友義氏(千葉大学 園芸学研究科 食料資源経済学コース フードシステム学領域 教授)
テーマ:『水産物を中心とした生産物の流通及びその支援手法に関する高度情報化』
講 師:菅野 勇紀氏(愛媛大学客員教授、NPO法人水産物トレーサビリティ研究会)
■ 閉会挨拶
長野 章氏(NPO法人水産物トレーサビリティ研究会副理事長、公立はこだて未来大学 教授)
[講演内容]
①『水産物分野におけるトレーサビリティの展開』
松田先生からは、水産物分野におけるトレーサビリティ全般についてご講演をいただきました。まず、消費者の安全と安心への感心の高まりについて、「安全は科学的に検証できる『もの』の世界であり、一方、安心は消費者の心の中に芽生える精神的問題である。『安心』と『安全』は別の問題で、安全は安心の前提となり、消費者はより安全な食品を安心して購入できる環境を望んでいる。食品安全性への関心の高まりは商品特性に対するニーズが多いことを示し、生産履歴情報やGAP認証取得情報、MPS取得情報などの情報開示が重要である」と説かれました。また、「より安全な食品を安心して購入・消費できる環境、フード・セーフティ・チェーンの構築が重要であり、そのためには全ての食品に対して全ての流通段階でトレーサビリティシステムを導入することが望ましいが、その費用を誰が負担するかという問題がある」と解説されました。「トレーサビリティシステムは『生産、加工及び流通の特定の一つまたは複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること』と定義され、トレーサビリティシステムは、お互いに情報を提供する企業同士、仕入先、販売先が支援しあうことが基本であり、フードチェーンを構築する全ての企業・団体が『安全な食品を、安心して購入・消費してもらう』という共通認識の下に、相互支援体制を組むことが重要である」など、水産物分野におけるトレーサビリティの背景と現状、取り組むべき事項等についてご講演をいただきました。
②『水産物を中心とした生産物の流通及びその支援手法に関する高度情報化』
菅野先生からは、水産物流通に情報技術が積極的に活用されない理由と対策を明らかにするために、①水産物流通と情報技術を取り巻く現状、②情報技術の「提案」における課題、③「具体的な適用可能な」方策の提示、を仮説提示、実証環境、実証実験のプロセスに基づいて解説していただきました。仮説は「価値検討の不在」、「中間流通者検討の不在」、「現実的な履歴開示手法の不在」の3つを掲げ、「価値」に関する検討では、南かやべオーナー制昆布のBtoCモデルを、「中間流通者機能」に関する検討では、長崎県阿翁浦を対象とした専門家介在型のBtoBモデルを、「水産物流通の実情に即した履歴開示」に関する検討では、登別タラコ・室蘭クロソイのトレーサビリティを対象としたBtoB/BtoCモデルとして、対象物の識別同定・加工過程の存在について解説していただきました。
松田 友義 講師 菅野 勇紀 講師
おわりに
第1回目のJIFIC公開セミナーということもあり、テーマの選定や開催案内等、試行錯誤を重ねた結果、当日は、関係団体、民間企業、学生、NPO団体等、約50名の参加を得て、無事、好評を得てセミナーを開催することができました。 当研究所としては、公益事業の一層の拡充を図るべく、その時々にマッチしたトピックをテーマとして、年3回程度開催する予定としています。 関係団体、民間企業だけでなく、行政や漁業関係者にも広くご案内いたしますので、奮ってご参加くださいますようお願いいたします。
- 調査役 大塚 浩二
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