事業の目的

漁場環境の維持・保全にあたり、基質材に木材を利用して健全な森林を維持することは豊かな漁場環境の保全につながる。また、増殖礁に活用した木材自体も有効な餌料生産基盤となり、水産生物の蝟集効果を発揮する。

そのため、本事業では木材を活用した既存の増殖礁に比べて、木材の利用率が高く、かつ製作が簡易な増殖礁を開発し、全国への普及を図ることを目的とする。

漁業にとっての森林の必要性

植物プランクトンは一次生産者と呼ばれ、漁業生産の基礎となる重要な餌料生物である。植物プランクトンが増えれば、食物連鎖のパイプは拡大し、漁業生産量が増大する。

植物プランクトンの成長には栄養塩に加えて鉄イオン等のミネラルが必要である。森林から流れ出す鉄分とフラボ酸は、フラボ酸鉄となって海域に流入し、植物プランクトンの増殖や海藻の繁茂に寄与している。

間伐材の積極的利用の必要性

森林を健全に維持するためには、混み合った森林から曲ったり弱っている木を伐採して、適正な密度とし、森林の中を明るく保つ必要がある。しかしながら、間伐材の利用が十分でない現状においては、間伐材価格の低迷等から間伐作業が敬遠される傾向にあり、間伐材の積極的な利用が求められている。

また、森林は水源涵養機能、土砂流失防止機能、土砂崩壊防止機能、大気保全機能等の公益機能を有しており、水産サイドにおける間伐材の継続的な利用は国土保全にも貢献し得る。

森林の公益的機能
森林の公益的機能

木材の利用率が高い増殖礁の開発・普及

  • 水産生物の増殖に効果的な構造と配置手法の検討
  • 開発された増殖礁の試験的設置とモニタリング調査等の実施
  • 木材の水産利用の促進に向けた情報交換及び技術普及活動

地域で産出される木材を活用した増殖礁の実証など

  • 地域で産出される木材を活用した増殖礁の開発から製作、設置、モニタリング調査
  • 地域協議会を設立し、継続的な事業の実施体制の確立
木材の利用促進による効果的な漁場環境の改善と森・川・海の健全なつながりの再生
一般財団法人 漁港漁場漁村総合研究所
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